高学歴でも失敗する人、学歴なしでも成功する人
読んだ目的:
- 高学歴ではあるが人生において閉塞状況をなかなか打ち破れないのはなぜか客観的な意見をもとに見直したかった。
- 自分で道を見つけて経済的にも自立できている頭の良い社会人たちの共通の秘密を知りたい。
印象に残った箇所:
- アカデミックスマートな人は、問題処理能力があり、即座に解を出す能力を持っています。しかし、決まっている問題に答えを出すのは、実は、簡単ものです。ある程度のパターン認識力を養い、勉強量をこなせば何とかなるからです。
- マッキンゼーの面接で見ているのは、面接官が出した問題について、何を解くべきかを発見・定義することができるかということと、それに対する解決能力。(答えの根拠や着想の面白さを重視)
- 「物事を整理して話す」とか「事実と考え分ける」と言うアカデミックスマートな部分は、短期間で訓練が可能。
- 答えがないところに、様々な自分の経験や知見をぶつけて、まずはアイディアを作り、ポジションを取るという能力は、学校成績が良いと言うことよりも、より希少であるストリートスマート。長期の訓練が必要。
- すべては無理にしても、できる範囲で聞いたこと、読んだこと、見た事は、自分で確認する癖をつけます。
- 例えば、蚊に刺されて腕が腫れてしまった場合、いろいろな人が様々なアドバイスをくれましたが、そのような情報をまずは「未確認情報」と頭に入れた上で、「蚊アレルギー」と言うキーワードで検索してみる。すると、人によって蚊に対する反応は全く違い、やはり、どこまで腫れた医者に行かないとまずいのかなどの判断は自分でしなければならない。つまり、「蚊に刺されて、それがかなり離れた場合は応急手当て何をするべきか、医者にはいつ行くべきか」と言う問題をまずは定義し、その答えを自分で考えてみると言うようなことがストリートスマートへの足がかり。
- 検索するときにはコツがあります。キーワード1つだけで検索する人がほとんどなのですが、それでは、なかなか目的のものを検索できません。キーワードは2つ、あるいは3つ以上入れて多方面から条件を絞るようにします。(頭がいい人の習慣1;ものを概念化する癖がある)
- 概念化の癖:物事を立体的に見る。例えば、風景の中から注意書きの看板などの必要な情報を持っているもの(大事なもの)と、持っていないもの大事でないもの)に無意識に分ける。マインドマップなどの手法は、抽象化すると言う概念を言葉や図式に落とすことによって可視化している。
- プロはあることを効率的に行える技術を持っている人
- 頭がいい人の習慣2:「頭が良い」というのは、「必要な情報を見抜く力」しかり、「物事を概念化する力」しかり、前提条件をなるべく最小限に絞ってそれ以外は全部そぎ落とすことができる力とも言える。
- 頭がいい人の習慣3:頭の中に充実したデータベースがある。( 家に本がたくさんある。多様な人と話をしたり、いろいろなところに五感で見聞きしたりする。)
- 特に大事な事は、様々な考えを「言葉」に書き換えておくことです。なぜなら、後から検索をするときに、その言葉が検索キーワードになるのです。(頭がいい人の習慣4:頭の中から引き出すきっかけを豊富に持っている)
- 頭がいい人の習慣5:新しい方法を常に探している
- 頭がいい人の習慣6:数字、特にベクトル数字に強い
- まずは物事を数字に置き換えること、そして、その数字同士を比べることで、判断行ったり理解することが必要になります。
- 数字と言うものは、絶対的な量はあまり重要ではなく、相対的な比や変化の割合の方が、より重要です。
- 数字には、単なる量を表す「スカラー」と、量だけではなく向きを合わせた「ベクトル」があります。
- いつもまず数字化行い、そして四則演算しながら、ベクトルとしての数字を見る癖をつけること、それができるようになれば見える世界がずいぶんとかわってくることでしょう。
- 頭がいい人の習慣7:リスクテイカーである
- 「物事をよく考えない人」を利用して儲けようとする悪い人が世の中にはたくさんいる。彼らは「楽して儲かる」をおいしい話を持ってきます。自分の頭で考えず、やすきに流れる人は合法的でない仕事のリスクに考えが及びません。(山本譲司「累犯障害者」(新潮文庫))
- 時間割引率が高い人ほど、目先の欲や利得にとらわれがちであり、様々な販売促進策についてもそういう人たちをあえてターゲティングして行われるものもありますので、注意が必要です。この時間割引率は、収入が高い人ほど、学歴が高い人ほど、小さい傾向があります。時間割引率は、複数の要素を鑑みながら中長期の視点で物事を捉えたり、行動したりすることができることの代理変数になるからです。
- 頭がいい人のスキル1:決して情報を鵜呑みにしない
- 私が必要以上の長時間、テレビを見る事は良くないと言っているのは、正確には「目的意識なく、頭を使わず、概念操作を必要としないようなテレビ番組はダラダラみないようにしましょう」ということ。なぜなら、その時間内は思考停止をしてしまって、それを見ていなければできたであろう頭の動きに対する機会損失が発生してしまうためです。何か新しいことへの気づきとしてはとてもいいと思います。しかし、そこはテレビですから実際上に何かの情報が誇張されている可能性があるかもしれないと言うことに当然注意するべきですし、紹介されていることが気になったときには、専門的にどういう評価を受けているることなのかを、インターネットで調べたり、知り合いの専門家に聞いたり、図書館や書店に出かけた際に関連する書籍に目を通すなど、ひと手間かけることが、頭の訓練になります。
- とにかくマスメディア(テレビ、新聞、雑誌)の報道は自分で検証もせずに信じたらいけないと思っています。
- 情報を得る機会は様々にありますが、そこで得られた情報を、いくつかの軸を持って、自分の情報に置き直し、鵜呑みにしないことです。そして、その切り分ける訓練のためには、私たち自身が日常的に様々な判断材料となる情報を蓄積していかなければならないのです。
- 頭がいい人のスキル2:例外処理が得意
- 私は日常的に講演依頼を受けますが、私が最も知りたいのは、「どんな人たちが聞きに来ていて、その人たちは何を私の話に期待しているのか」、「講演の主催者は私の講演によってどのような効果を望んでいるのか」、「何分話して何分質疑応答するのかということ」、その3点だけなのです。
- 周囲で「決まりだから」「前例がないから」「そういうものだから」という言葉が飛び交っている職場にいる場合には、さっさと逃げることを強く勧めます。
- 新卒で仕事に就くときにはなるべく市場原理が働きやすい職種、つまりサバイバルが必要な職場に入りましょう。サバイバルが必要な業種というのは、営業や製品開発などの結果がはっきりと目に見える業種や部署であり、外部の人に業績をはっきり評価されるところです。
- 言い訳をなくす。隠れ場所をなくす。自分で失敗を被る訓練を。
- 頭がいい人のスキル3:自分の意見を持っており、人の意見に左右されない
- 運がいい人の特徴は4つ:①チャンスを最大限広げて生かしている②直感と本能を信じて気づきが多い③将来に対して目標や夢があり幸運を期待する④不運なことがあってもそれを幸運に変えられる
- ストリートスマートに特徴的なのは「つまらない事でも楽しむ」能力
- 偉い人の話だからと、そのまま鵜呑みにしてもいけません。しっかりとした自分の考えを持った上で、照らし合わせる能力が必要です。
- 頭がいい人のスキル4:非常識だが、生産性が高い。
- 人の意見に左右されないと言う事は、「非常識」と思われるような言動が多いと言う事でもあります。ストリートスマートの人たちは、正直、慣れないと「いやな奴」だと思います。あるいは、年中接していないと、つかみどころがない人たちだと思います。小狡いと思うこともあるでしょう。
- 頭がいい人のスキル5:経験と概念を上手につなげることができる。自分の経験からどんどん学習して、ますますストリートスマートになっていく。
- 代表値である「平均」「中央値」「最頻出値」に加えて、必ずおさえておかなければならないのは「ばらつき」。
- 何かが起きた時、初めてのものに接したとき、これまで自分が見てきた何か見ているとしたら、どの部分が似ていて、何が違うのかがわかれば良いのですが、実例に頼りすぎると、そんな風な頭の使い方になりません。
- 頭がいい人のスキル6:到達点のポイントを見極め、手段を自分で見つけられる。つまり、目的に応じて、手段については現場で臨機応変に動くことができます。稼働能力が高い。
- 「どうしてそんなにリスクを取れるのですか?」と聞かれることがありますが、これ(ある程度計算できるからです」と答えるようにしています。経験則から高い確率でこの範囲に収まるだろうなぁ、ということがわかるのです。
- リスクがある程度の範囲内で収まる限りは、新しいチャレンジを継続可能です。会社等の所属していた集団から独立するときには、生活費2年分くらいは取れてからの方がいいと私がアドバイスするのも、仕事が立ち上がるまでの最大リスクを考えると、それくらいあったほうがいいと言うことを経験的に学んでいるからです。万が一、最大リスクに到達しても、こうすればいいということが見えていれば安心だからです。例えば独立では、2年間うまくいかなかったら、向いていない、ということになります。
- 頭がいい人のスキル7:圧倒的なメリハリとスピード感が人を魅了する。間違っていたとしてもスピードを優先させ、間違っていたら改良すれば良いと考えるのです。フィードバックの速さで失敗をカバーできるからです。
- 天才とは、実はそれまでのデータと思考回路の結果です。無から有は決して生まれません。しつこく、スピード感を持ってやり続ける人が、天才なのです。
- 「使える」人や物を見抜く力がある
- ストリートスマートな人たちはあまり自慢話に興味がない。なぜなら、「やりたいからやっている。以上」と言う感覚だと思います。腰が低い人も多いと思います。様々な文化的貢献も、聞かれない限り話さない。でも、人生に余裕があって、楽しく過ごしているのです。そして、そういう人たちが「こいつ使えるな」と思ったときの力の入れ方が半端ではありません。私もこれまで、様々な既に地位をつくりあげた方たちに教えてもらい、チャンスをもらいました。まるで10年来の知り合いのような扱いをしてくれ、人を紹介してくれ、家やパーティーに招待し、チャンスやものをくれます。しかもそれは、私が有名でも何でもない時からなのです。
- ストリートスマート力は、環境変化に対するサバイバル能力。不確実な環境下で例外処理をできる能力があれば、強いストリートスマートになれる。スマートと言う言葉を使っていますが、実際にはもっともっと「泥臭い」ものであり、例えば小さな世界では上司、より大きな世界では例えば国のような既得権益、仕組みに対してチャレンジをし続けるものだと理解してほしいと思います。
- 新しい考え方をもたらす視点1:なにはなくとも知的好奇心。知的な継続した興味と言うのは、接した情報を分析して考える癖、と言い換えられます。
- 新しい考え方をもたらす視点2:クリティカルシンキング。つまり、何事も自分で確認するまでは、100%信じるなんてバカなことをしない、ということ。
- 新しい考え方をもたらす視点3:具体的な事象を頭の中で抽象化して、力をその抽象化した者同士を組み合わせて、新しいものを創造する力。コンピューターでは最も再現が難しい能力の1つ。抽象化と言うのは、対象物から特定の注目すべき要素を抜きだして、それ以外のものは無視するやり方。
- 新しい考え方をもたらす視点4:データ収集能力。何か判断や理解が必要なものについて、客観的な情報集める能力です。①何のデータが必要なのか②どこからそれを集めるのか③集めたデータの価値をどう判断するのか、という3段階の能力が必要です。
- 新しい考え方をもたらす視点5:画像化能力。大きい容量一気に処理できること。
- 新しい考え方をもたらす視点6:数値化能力。画像が、想像するときに最も大きなデータを取り扱うものだとすると、数値はそれを徹底的に縮めたものです。
- 新しい考え方をもたらす視点7:言語化能力。どんなに良いアイディアも思考も、人に示し、共有できないとかなりません。その時に、画像よりも、数値よりも、より有効なコミニケーション手段となるのが、言語です。この人頭いいなと思うのは、あまり話さなくても、発言がしっかりしたポイントを押さえており、次に使っていて、頭の中でしっかりとした概念化ができていることが透けて見える時だと思います。
- ストリートスマートな人たちは、そこ抜けに親切です。人に何かを貸した時に、恩に着せない、というのが大原則です。恩に着せない、というのは、自分からは決して返済を求めない、ということです。「自分だけが自分だけが」と言う人にはほとんど会ったことがありません。そして、自分の弱みはここの部分である、ということを公言してはばからないのです。
- 30歳を過ぎても人に対する観察力が弱い人は問題。
- 何かをしたいと思ったときには、順番としては、自力で試してみて、自分では費用対効果が厳しいと判断したら、市場でその材・サービスが調達できないか考え、それでもうまくいかないときに、初めて伝手やコネを頼ることにするわけです。何かをただもらいすると、その時に相手が与えた恩と、受け取ったと思う恩の部分に差が必ず出る。(ただより高いものはない)
- いちどでも先にこちらが恩義を借りた相手に対する返済は、一生かかると思っていたほうが安全です。なぜなら、少しでもこちらが返済を怠るとそれに対して恨みに思う人が少なからずいるからです。恩義の問題は、借りた方と、貸した方は、価値観が非対称なので、価値観が非対称なのでトラブルの可能性が大きいのです。1回貸し借りがあった関係で、特に借りから始まった人には、とにかく返し続ける。そこは間違ってはいけません。
- 人間関係はこのように、貸しから始めた方が楽です。
- 人脈で行う情報交換とは?ここで勘違いしがちなのは、ググったらわかることを専門家に聞いてしまうことです。これは良くないです。そうではなくて、ググった結果、それが本当か、ということを専門家に聞くのです。
- 少ない労働時間で大きな付加価値を上げる習慣がある人は、若い頃から大変な確率で「運動オタク」。
- 作家の林真理子さんは、10歳歳をとるごとに、10%ずつぐらい、報酬を目的としない仕事を増やすようにアドバイスされたそうです。
- 真の意味での「実直さ」「正直さ」こそがストリートスマートを生む
- 正直、嘘つきは世の中にたくさんいます。むしろ嘘つきの方が世の中も多いのです。人の実績を見るときには、「再現性があるか」「他人の口からも同じことが語られるか」という2点を重視します。レファレンスといいますが、関係者に対して、その人が言っていることが本当かどうかヒアリングを行うわけです。嘘をつく人は、管理コストが高い。(嘘をつかれると、次からは「嘘じゃないかな」といちいち疑ってしまいます。締め切り1つ設定するにも、本当に守るのかなとか、めんどくさくなります。また、信用できない人ですから人にも紹介しにくい。これが管理コストがかかるということです。)さらに、嘘つきは嘘がばれても謝りません。謝らないのは嘘つきの特徴です。
- 人にどれくらい信用されるかと言うことと、その人がどれだけ付加価値を出せるかという事は比例します。大事な事は、「人から単になんとなく好かれること」ではなくて、「信用されている」ということなのです。
- 自分に合った方法論は、自分で開発するしかない。
- ストリートスマートというのは、むやみに努力をすることではなく、戦略性を持った努力をする。しかもその戦略性とか、失敗から学びながら、いかにして自分の強みを生かせる場所に土俵そのものや、ルール自体をうごしてしまうか、ということなのです。
今度読みたい本:
・ソロスの錬金術:物事に対する認識が変化することで、逆に、その変化した認識が物事を動かしてしまう、と言う認識と現状の再帰性について考察した本
・運のいい人、悪い人(角川書店、リチャードワイズマン著)
・統計数字を疑う(光文社新書)
・みんなの意見は案外正しい(角川文庫)
・マナベル(扶桑社)